起業家ジム・クラーク 価格: 納期: 人気ランキング : 177,346位 定価 : ¥ 1,890 販売元 : 日経BP社 発売日 : 2000-02
企業のノウハウをひとつでも盗めたら・・・という自伝を読む心がまえではなく。ジムクラークの手法を参考にしようと思い購入しましたが、マイクロソフトへの皮肉がチラリホラリ・・・ ネットスケープ社時代の立上や熱い思いは頭を沸騰させる内容でした
この本はジム・クラークがいかにしてネットスケープ社を立ち上げることになったか、そしてどのように軌道に乗せたかを彼自身の視点からビビッドに描いたものである。単なる自伝ものと予想したのだが読み終わってみて、コーポレートガバナンス・コンペティティブストラテジー・コーポレートストラテジー・ビジネスモデル構築・商品開発戦略・ファイナンス(主にベンチャーキャピタルとの距離の取りかた)・マーケティング戦略・採用戦略・人材開発等々起業〜経営に関わるクリティカルファクターのエッセンスが散りばめられており、大変示唆に富んでいる。月並みながら成功の要因は、インターネットを一部の専門家の道具ではなく一般の人達に開放することによりコミュニケーションに変革をもたらす、というビ!ジョンを持ち社員一丸となってその実現に向け寝る間もなく働いたことであろう。(ジム・クラークがそれまでにシリコングラフィックス創設によって十分な資産を得ていたことは事を有利にしたのは言うまでもないが。)またどれだけインターネットの世界はスピードが重要かを理解していたことも高い先見性を持っていた証左であろう。個人的には、ビル・ゲーツに飲み込まれないよういかにジムがファイトを燃やしていたか良くわかりエールを送りたくなった。単に起業をしたい人だけでなく大企業における新事業開発や優秀な人材のリテンションを如何に行っていくかに携わる人に是非一読をお奨めしたい。
自分が創業したSGIをほとんどケンカ別れに近い状況で退職した後、マイクロソフトの脅威と戦いながらアンドリーセン氏たちと一気呵成にネットスケープを立ち上げる過程でジム・クラーク氏が何を考えていたのかがとても率直に書かれているので、これが本音なら私にはおもしろすぎて、演出かと疑ってしまうほど。少なくとも、大企業のCEOが著者名になっている、よくある「営業本」とはまるで異なる、起業家としての本音が語られた本だろうと思う。 たとえば前半に登場するベンチャーキャピタルに対するコメントなど、VCの実態に関心のある経営者にはかなり実践のレベルで参考になる。
ジムクラークは、インターネットを人々の身近なモノにした最大功労者のうちの一人である。彼はいかにして世界を変えたか、そしていかにしてマイクロソフトの前に屈したかが彼自身の言葉で記されている。激動するインターネットの世界、それに翻弄される人々の姿を映しだしながらもシリコンバレーでの日常風景が盛り込まれていて、いろいろな視点から楽しめる作品である。