シリコンバレーは私をどう変えたか―起業の聖地での知的格闘記 価格: 納期: 人気ランキング : 22,606位 定価 : ¥ 1,470 販売元 : 新潮社 発売日 : 2001-08
アメリカの大手コンサルティング会社、アーサー・D・リトルを退社し、シリコンバレーで独立・起業したベンチャー界のカリスマ、梅田望夫初の著書。 本書は雑誌「フォーサイト」に連載された「シリコンバレーからの手紙」を内容別にまとめたもので、「シリコンバレーの基本を体感する」「ネット革命とバブル崩壊」「マイクロソフトとリナックス」「シリコンバレーは私をどう変えていったか」の4章からなっている。妻と2人で移住し、初めてシリコンバレーの価値観に触れたときの戸惑いや興奮、創業時の不安、現地のビジネス状況などが、手紙という形でリアルに語られている。世界各地からシリコンバレーに集まった天才たちの情熱とそれを育む風土、成功者として莫大な富を築き上げた者たち…。ネットバブル崩壊以前の活気あふれるシリコンバレーの状況が目に浮かぶようである。 本書は古き良き時代を振り返るだけの本ではない。著者はプロローグでも言っているように、「ネットバブルが崩壊し、シリコンバレーが失速した今も、なぜシリコンバレーにとどまって、ここで生きていこうとしている」のかを明らかにしようとしているのだ。バブルが崩壊した今だからこそ、真にベンチャースピリッツをもち続けられるかどうかが問われている。著者は、ネットバブル崩壊で元気がなくなっているベンチャー起業家にもう一度ベンチャースピリッツを吹き込む意図で、本書を出版したのかもしれない。(土井英司)
知的格闘とあるので、著者独自の観察や思考、新しい情報などを期待したが、執筆から年月が経過しシリコンバレーのことが日本でもよく知られるようになったためか、記述内容が至極平凡なものに感じた。
今夏シリコンバレーのベンチャー会社をいくつか訪問した。節約のため一般住宅をOfficeにしているところや、会社創立以来苦節3年でベンチャーキャピタルの出資を得て一気に大きくなろうとしているところもあった。実際に人に接してみて日本とシリコンバレーの差の大きさに衝撃を受けた。日本からMediaを通じていては見えない部分がずいぶんある。これを伝えることは私には難しいのだが、著者はシリコンバレーの内側からの観察をまじめに丁寧に書いている。
著者は大手コンサルを独立後、シリコンバレーでベンチャやエンジェル(ベンチャキャピタリスト)を相手にシリコンバレーの起業ビジネスを立ち上げる。自分もその時期に現地でエンジニアとして、シリコンバレーのビジネスの風土を体感したが、著者はキャピタリストの立場でどのようにして起業するため各種エキスパートを人脈で見つけ、契約してバーチャルなベンチャ企業を構築していくかを体験記として興奮を交えて綴る。一番の顧客がファンド、株主である米国の会社の考えに対して、エンドユーザーと従業員を顧客と考える日本の会社の考えと文化に差はあり、それがダイナミズムとスピードの差となって日本を呪縛するし、日本の経済の閉塞を打破する答えをストレートに得ることはできないが、”敵を知り己を知れば...”の兵法に従えば、米国流のビジネス文化を理解するには希少な本と思う。
シリコンバレーで起業した著者によるエッセイ集。筆者が見聞き、体験したことや、驚いたことなどを読みやすくまとめてありますが、やや内容が淡白に感じたので星3つ。交渉ごとや、その他知的格闘の実際を、より生々しく(赤裸々に)伝えてもらえたら、読者として満足度がより高かったと思う。有益だったトピックは、個人ベースでの勝負、大学と産業界の関係、シリコンバレーでのエンジニアの姿、ベンチャー起業者の心得(原則)3箇条などなど。
外資系コンサルティング会社を退職し、シリコンバレーで起業した著者の、シリコンバレーでの日々を書き綴った手紙をまとめて本にしたものであるが、正直つまらなかった。ITベンチャーバブルの中で感じた感動や自分自身が起業して感じたことを伝えようとしたのだろうが、日記の域を出ず面白みが感じられなかった。2年前に出版された直後であればもう少しニュース的な価値もあったのであろうが、今となってはどこにでもある記事の焼き直しとしか感じられない内容であった。